1300年続く長良川鵜飼。その観覧船の改修事業を担った。提案したのは「闇に溶け込み、呼応する3つの舟」。墨色に塗りなおした船体は「闇」を表し鵜飼の世界観と一体となり非日常を演出した。
3つの舟は1艘ごとにテーマカラーを設定し、夜の川面や鵜匠の装束の「藍」、篝火の「橙」、美濃和紙に代表される生成りの「白」。それぞれのカラーをシートのファブリックの他、美濃和紙を貼ったテーブルにも展開した。
それぞれ違った屋形(屋根)を持ち、伝統的な木組みの舟は宮大工に。軽やかで自由な造形が可能な鉄骨の屋形はR屋根と、ムーンルーフを持つ屋根の二種類を設計した。
今までの観覧船では靴を脱ぎ、座敷に座るような形でしたが、靴のまま入りベンチに座るスタイルに変更し、様々な人にとって過ごしやすくなった。
照明計画は天井面と床面を照らす間接照明で調光機能も備え、シーンごとに明るさを変化させることができるようになった。
長良川鵜飼では、鵜飼中は川沿いの旅館、住宅に至るまで余計な照明を消灯し、篝火の明かりを頼りに行う鵜飼漁の邪魔をしない不文律があり、それを踏襲し鵜飼観覧中は無段階調光によってスムースに消灯し、よりプリミティブな鵜飼観覧体験をしてもらえるようになった。
※本案件は「株式会社ミユキデザイン」と協働し、「ミユキ・エレファントデザイン共同体」としての協業。
所在地 | 岐阜県岐阜市 |
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構造 | 木造、S造 |
用途 | 鵜飼観覧船 |
担当 | 門脇 |