本田の家

岐阜県瑞穂市の郊外にある敷地は、数十年前に開発された新しい住宅地の中にある。施主は頻繁に友人を招いてホームパーティを楽しむことが好きで、そのためにキッチンとダイニングを中心に考えて設計しました。従来のLDKの構成では、生活の中心もお客様を招く場も同じになりがちで、空間の利用の性質のグラデーションにうまくフィットしないことが多いと感じていた。

例えば、お客様を招き食事をする場合にテレビは不要と感じるし、テレビをはじめとするモニターを使用するコンテンツは、今後一層不要になっていく。その時に居間空間の一番良い壁面にテレビを設置するという構成自体がすでに陳腐化しており、大型モニターでのコンテンツの楽しみ方は、小さな空間で映画を見たりテレビを見たりと、それそのものが独立した空間で、限定的な楽しみ方になっていっているように感じている。今回は開放的なDK空間と、ネスト(巣)のようなL空間を分けることで二つの空間の使用上の性質の違いを具体的に空間を分けることで実現した。今回はこのネスト(巣)のようなL空間を「家族室」と名付け、DK空間を「主室」とした。

主室は日常的に家族が食事をする場所であり、またお客様をもてなす場所でもあります。そのために主室は開放的で天井が高く、空を広く感じられるような縦長の窓を設置し、印象的な空間になるように心がけた。

一方、家族室は家族が食事の後にゆっくりと過ごす場所であり、そのために家族室は、より落ち着きのある親密さを演出しました。普段は食事をした後、お風呂に入り就寝までの時間をゆったりと過ごすために小さく天井の低い空間が効果的に働きます。そして、場合によってはお客様との親密な関係を築くためのネスト(巣)のような空間でもあります。

外部とのつながりについては、駐車場と建物の間のL型の空間に生垣と庇を設けることで、視線を遮りながらも内部空間が広がって感じられるようなバッファな空間となった。例えば内部から見たときに、庇と生垣があるために内部空間が生垣まで広がるような感覚になり、印象として室内空間が広がって感じられます。敷地形状の為に十分な広さの庭が取れない分、内部床のコンクリートも通常仕様の温水床暖房を仕込むことで、暖かさも担保しながら外部の犬走りとの繋がりも感じられ、空間の広がりに寄与している。

外壁は杉の赤身を30㎜という厚もので張って、庇は出ていないがその分板の厚みと杉赤身の強度。内部の通気層で構成した。塗装をしたところで数年ですぐに剥がれ、逆に美しくならないため、あえて無塗装にすることで杉板が一様に退色し、すぐにグレーの色で落ち着きそのまま長く美しい壁面を見せてくれると思う。中途半端な庇はむしろ雨のよく当たる部分と当たらない軒下部分での汚れ方がまちまちになりがちで逆に美しくならないと考えてあえて庇を出さない。という結論に達した。その分止水は慎重に行い、不要な開閉は行わずフィックスにするなどリスクを減らした。

変化しないのではなく、変化しそれと付き合う覚悟とそこに現れる美意識。経年変化を許容する心のゆとりとそこに美を見出したい。 見た目の広がりを感じられることで印象が大きく変わると思う。


所在地 岐阜県瑞穂市
構造 木造
用途 専用住宅
敷地面積 209.83㎡
床面積 110.96㎡
担当 門脇 町田 竹内
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